詰将棋作家に聞いた!初心者からの詰将棋の創り方①

詰将棋

「詰将棋を創ってみたいけど、創り方がわからない…」

「そもそも何を目標に創ればいいの…?」

 

この記事は、詰将棋を創りたいと思っている全ての方へ向けて、詰将棋作家であるkisyさん(Twitter:@Kisy3141592)をお招きし、対談形式で詰将棋の創り方を教えてもらいました!

kisyさんは合駒問題や構想作を得意とし、七種合や煙詰を創作した実績を持つ実力派の詰将棋作家。

スマホ詰将棋パラダイスというアプリを中心に活動なさっています。

指将棋はできても詰将棋創作はサッパリのあずが、初心者の視点から詰将棋の創作方法について聞きだしました。

それではどうぞ!

※本記事では詰将棋の基本ルールを理解した前提でお話が進みますので、こちら(外部リンク)などで復習してから読み進めましょう。

 

あず
あず

本日はよろしくお願いします!

kisy
kisy

よろしくお願いします!

あず
あず

それでは早速、詰将棋を創作するコツを聞いていきたいと思います。

創作は「狙い」を持つことから始まる

あず
あず

詰将棋って、どうやって創ればいいんでしょうか?

kisy
kisy

とってもアバウトな質問ですね。順を追って説明していきましょう。

まず詰将棋を作るにあたって第一にやらなければならないのは、「狙い」を持つということです。

あず
あず

「狙い」ですか…。

何度か詰将棋を創ってみたことがありますが、狙いというのは意識したことがないかもしれません。

創作にあたっての目標みたいなものですか?

kisy
kisy

そうですね。これはよく言われることなのですが、自分の作った詰将棋の狙いを言えない場合は、その作品はあまり良いものでないことが多いです。

あず
あず

kisyさんはいつも狙いを持って創作をされてるんですね。例を見せていただきたいです。

kisy
kisy

わかりました。例として、僕の初創作をお見せします。

kisyさんの初創作
後手の持駒:角 金四 銀四 桂 香四 歩十五 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・v桂 ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 桂|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0    まで
あず
あず

これが初創作ですか!?盤面を大きく使っていて手慣れているように見えます。

 

kisy
kisy

実はこれ以外の初期作は見れたものじゃないんです。

初創作は強い人に改良図を作るたびに手順を見てもらい、あまり良くないと言われるたびにもっといい手順がないかと試行錯誤していたので、やけに良い出来になったのだと思います。

 

あず
あず

それにしてもすごい根気だと思います。

それで、これはどういった狙いをもって創ったのでしょう?

 

 

kisy
kisy

これはわかりやすくて、限定合を出そうという狙いで創りました。

限定合

限定された合駒の略で、ある王手に対して、どう合駒しても詰む中で、とある合駒だけが詰将棋のルールに適した正しい応手となること。詰将棋では玉方は持駒が残り駒全てなので、合駒が一つしか答えにならない詰将棋を創るのは非常に難しい。

あず
あず

確かに、合駒が三回もあって、全部限定合ですね!

kisy
kisy

もともと非限定の合駒が大嫌いだったのでこだわってますね。

初めは角合を出すことだけが目標だったんですが、途中からもう少し合駒を出したくなり、長めにまとめました。

あず
あず

これは難しい…腕に自信のある方はぜひ解いてみてください。

※解答はページの一番下に掲載しています。

 

さすがkisyさん、初創作から狙いも完成度もピカイチですね!

しかし、狙いといっても色々ありますよね。狙いとはどうやって思いつくものなのでしょう?

狙いってどう立てる?

kisy
kisy

狙いをどう立てるかについて話しましょう。

例えば僕の場合、創作を始めたのは詰将棋パラダイスをけっこう読んだ後でした。

上の作品の少し後にもっと難しい狙いをもって創ろうとした時などは、詰将棋パラダイスに載っていた作品からアイデアを得て、それを形にしようとしました。

 

詰将棋パラダイスとは

昭和25年創刊の詰将棋専門月刊誌。読者投稿型で、3手詰から100手を超える長手数、特殊ルールのフェアリー詰将棋などを網羅。随一の専門性から、詰将棋愛好家たちに愛読され続けている。

公式ホームページはこちら

あず
あず

他の人の作品からアイデアを得たわけですね。

kisy
kisy

そうですね。

目標のつくり方は本当に人それぞれで、人の作品を見てアイデアを思いつきそれを実現してみたいと思ったり、実戦で出てきたカッコいい詰み筋を詰将棋にしようとしたり、自分が思い描く面白そうな手順を詰将棋で表現してみたいなど様々です。

初めは、どうしても何も目標が立たない、思いつかないことも多いでしょう。そんなときは、他の方が作った詰将棋の手順を少し変えて作ってみるなどでもいいと思います。

あず
あず

これはいいことを聞きました。創作のヒントは、他の人の詰将棋を見たり実戦を指したりする中にも転がっているのですね。

詰将棋になる「狙い」とは?

あず
あず

創作のきっかけとなる狙いは、何をヒントにしても良いということでした。

しかし、思いついた狙いが詰将棋らしさに繋がるかの判断はどうすればよいのでしょうか。

kisy
kisy

鋭い質問ですね。

実は、思いついた狙いを実現しただけでは詰将棋にならないこともよくあります。

この判断だけは、たくさんの詰将棋を解いたり鑑賞して磨き上げるしかないと思います。

あず
あず

そのあたりは詰将棋を多く見る中で、先人たちに価値観を合わせていくということですか?

kisy
kisy

難しい問題ですが、僕はそうだと思います。

僕自身、詰将棋パラダイスを読み続ける中で、どういった狙いが詰将棋になるかを学び取っていきました。

いきなり詰将棋パラダイスを読むのは難しいと思いますので、書店で売っている詰将棋に目を通すことから始めていきましょう。

狙いの具体例

あず
あず

詰将棋を見ていく中で狙いが分かり、浮かぶようになるのですね。

具体的に、代表的な狙いについて教えてください。

kisy
kisy

よくある例をご紹介しましょう。軽い説明は入れるので、気になったものは検索などしてみてください。

まず、詰め上がりを工夫することが考えられます。

具体的には、吊るし桂や両王手です。

吊るし桂
後手の持駒:飛二 角 金四 銀四 桂 香四 歩十七 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v角 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0    まで
両王手
後手の持駒:飛 角 金四 銀三 桂四 香四 歩十八 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ 銀v玉 ・ 龍 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0    まで
kisy
kisy

どちらも飛び道具を使っていて、ぱっと見て詰んでいるかどうかわかりにくいですよね。

こういう「おっ」という狙いを持つものが詰将棋になります。

詰め上がりを工夫するものとしては他に、

・攻め方の駒が最後に二枚だけ残る「清涼詰」

・盤上に三枚しか駒が残らない「ミニ煙」(煙詰のミニバージョン)

・盤上に文字を浮かび上がらせる「あぶり出し」

などがあります。あぶり出しは解いた人に「おっ!」と思わせる最たるものですよね。

あず
あず

面白い詰め上がりを見ると、真似したくなりますね!

詰め上がりに工夫というと、盤の隅っこで玉を詰ませる「雪隠詰」は聞いたことがあります。

kisy
kisy

確かに雪隠詰も詰め上がりの工夫ですが、結果的にそうなっただけといった感じも受けるので、それだけでは狙いとして少し弱いかもしれませんね。

そういうときは、詰め上がり以外にも狙いを入れると詰将棋らしくなっていきます。

あず
あず

狙いをたくさん入れると最初から最後までしっかりした詰将棋になるんですね。詰め上がり以外の狙いにはどんなものがあるんでしょう。

kisy
kisy

逆に、初形を工夫するものもあります。

初形において、

・飛角龍馬と玉しかない「飛角図式」

・小駒しかない「小駒図式」

・金や銀、小駒の成駒がない「清貧図式」

・歩とと金しかない「豆腐図式」

・飛角金銀桂香歩が一枚ずつの「七色図式」

などがあります。

あず
あず

全部「図式」というのがつくのですね。

kisy
kisy

言われてみればそうですね。

あぶり出しの反対に、初形に意味のある形にする「初形曲詰」というのもあります。

さらに、初形も詰め上がりも意味のある形になる詰将棋は「立体曲詰」と呼びますが、創るのは至難の業です。

あず
あず

初形を工夫してそこから詰むようにするというのは、熟練の業という感じがして難しそうですね。

kisy
kisy

確かに、初形の形を工夫するのは上級者向けですね。

ただ、条件が緩いものとして実戦形があって、これは創りやすいですよ。

実戦の詰み筋を流用できますから。

あず
あず

お、実戦形なら私も創れます。

桂と香を配置しておけば実戦形っぽくなりますよね。

kisy
kisy

初形の工夫よりもっと実現しやすい狙いとして、手順の中に妙手を入れるというのが考えられます。

例えば、大駒の捨駒や、何枚も相手の駒が利いているところへの捨駒は、実戦で出てきたらカッコいいですよね。

大駒の不成や限定合、移動合も妙手です。

あず
あず

捨駒は、どんな詰将棋にも一つはあるイメージがあります。

kisy
kisy

捨駒が入ると作品が引き締まるので、多くの詰将棋には入ってますね。

ただ、他の狙いを持っていて、その性質上あえて捨駒を入れないこともあります。捨駒も奥が深いです。

妙手というと他にも、最遠打や最遠移動、短打、そっぽへの移動、合駒なら中合など、挙げればキリがありません。

あず
あず

色々な詰将棋を見る中でストックが貯まっていくわけですね。

kisy
kisy

あとは、手順単位で狙いを入れることもあります。

飛車の二連合や二連中合い、打ち換え、持駒変換など、連続した手順だからこそ価値が高いですね。

大きく見れば、玉が移動してもとに戻ってくる「還元玉」や、全ての駒を使った初形から最後には盤上三枚になる「煙詰」もこれにあたります。

あず
あず

どれもこなれた業だったり大がかりだったりで難しそうですね…。

kisy
kisy

手順自体を狙いにするときはどうしてもそういうものが取り上げられがちですね…。

でも、「盤上の駒を連続でさばく」とか、「打った駒を捨てる」とか、そういう狙いも大切です。

あず
あず

それなら、なんとか創れそうな気がします。

でも、そんなものだけで狙いになるんですか?

kisy
kisy

やはり気持ちよく解ける詰将棋はポイントが高いです。

気持ちよいさばきを突き詰めるだけでも、すごい詰将棋になりますよ。

まとめ

あず
あず

今回はkisyさんに、詰将棋を創る第一歩、狙いを持つことについて解説していただきました。

まとめると、次のようになります。

今回のまとめ
  • 詰将棋創作は狙いを持つことから始まる。
  • 実戦や他の詰将棋を見る中で、狙いを見つける。
  • 狙いが立てられないときは、他の詰将棋をアレンジすることから始めても良い。
  • 詰将棋をたくさん見る中で、どんな狙いが詰将棋になるかを理解してゆく。
  • 詰め上がりや初形、妙手など狙いとなるものは様々。
kisy
kisy

次回はいよいよ、詰将棋の創作に入っていきます。

狙いを実現するための創作手法、正算式と逆算式について解説していきます。

お楽しみに!

詰将棋の解答

▲2三歩成△1一玉▲1二と△同玉▲2四桂△1一玉▲1六飛△1三角(A図)

▲同飛成△同桂▲3三角△2二歩(B図)

▲同角成△同玉▲3二角成△1一玉▲3三馬△2二飛(C図)

▲1二歩△2一玉▲1三桂不成△3一玉▲4二歩成△同飛▲3二桂成△同飛▲4三桂△4一玉▲5一馬(詰め上がり図)

まで29手詰。

※詳しい解説はスマホ詰将棋パラダイス(作品No.7916)でご確認ください。

作品図
後手の持駒:角 金四 銀四 桂 香四 歩十五 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・v桂 ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 桂|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=0    まで
A図
後手の持駒:金四 銀四 桂 香四 歩十六 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・v角|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 桂 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=8  △1三角  まで
B図
後手の持駒:飛 金四 銀四 桂 香四 歩十五 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 角 ・v桂|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 桂 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=12  △2二歩  まで
C図
後手の持駒:角 金四 銀四 桂 香四 歩十五 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 歩 馬 ・v桂|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ 桂 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 
手数=18  △2二飛  まで
詰め上がり図
後手の持駒:角 金四 銀四 桂二 香四 歩十六 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ 馬v玉 ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ 歩|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ 桂|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=29  ▲5一馬  まで

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